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国と企業との「共同不法行為責任」

石綿肺びまん性胸膜肥厚

この2つの疾病はかねてから、労災としては認定対象の疾病でした。

今般、大阪地裁判決を受けて、それが石綿を使用していた工場などの近隣住民を救済する「石綿健康被害救済法」でも対象になることとされました。
実務的には、件数が多くないとのことですが、これで救われる方もいることは確かです。



石綿肺など救済決定
 政府は21日、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺びまん性胸膜肥厚を、石綿健康被害救済法の対象指定疾病とする政令改正を閣議決定した。救済対象者には医療費の自己負担分のほか、月額約10万円の療養手当を給付する。7月1日から施行する。(2010/05/21)http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010052100226





石綿国賠訴訟判決、救済法見直し論議に拍車

泉南アスベスト(石綿)国賠訴訟の判決は、2005年の尼崎クボタショックをきっかけに制定された石綿健康被害救済法の見直し論議に拍車をかけそうだ。救済法は被害者に対するいわば見舞金にすぎず、今回、司法が国の不法行為を認めたことで、国への批判を強める被害者や支援団体から、「補償」を求める声が上がっている。
 小西義博裁判長は判決理由で「(国の不作為が)石綿産業の急成長のもとで石綿粉じん暴露による被害拡大を招いた」とし、さらに「国民に対し、石綿の危険性に関する適切な情報提供も怠った」と厳しく指摘した。
 判決後の会見で、原告弁護団副団長の村松昭夫弁護士は「国の責任を前提とした被害者救済システムが求められる」と救済法の抜本改革を求めた。
 救済法はクボタショック後、小池百合子環境相(当時)が「すき間のない救済」を掲げ、06年に施行された。労働者ではない石綿工場周辺の被害者らに医療費や療養費を、遺族には特別弔慰金など約300万円を給付。4月27日現在、全国で5959件認められているが、労災に比べて給付額は低額で、対象疾病も限定されており、被害者らから見直しを求める声が上がっている。
 現在、環境省・中央環境審議会の小委員会で論議が続く。委員の一人で石綿対策全国連絡会議(東京都)の古谷杉郎事務局長は「国は石綿対策全般を見直すべきだ。今回の判決は21日に開催される小委員会で議論されるだろう」と話した。
 また、被害者支援に取り組んでいる関西労働者安全センター(大阪市)の片岡明彦事務局次長も「救済法は、労災を受けられない被害者のための法律だが、今回の判決は労働者に対する国家賠償責任を認めている。補償を盛り込んだ新たな法律の枠組みが必要になる」と訴えた。(中部 剛)
(2010/05/20 10:46)


以下は、毎日新聞の社説です。


社説:石綿訴訟判決 法的救済の拡大を急げ

 アスベスト(石綿)被害を巡り国家賠償を求めた裁判で、大阪地裁は初めて国の不作為責任(怠慢)を認め、賠償を命じた。原告は大阪府泉南地域の石綿紡織工場の元従業員らで、長年にわたって石綿肺などで苦しんできた。被害を発生させた大半は零細企業で既に廃業している。判決は、救済から取り残された労働者の健康被害を重くみて、規制を怠った行政の責任を厳しく指摘したといえ、評価できる。

 泉南地域は、約100年前から石綿を使った紡織業が盛んだった。石綿は船や自動車の部品に使われ、高度経済成長を下支えしてきた。

 判決は周辺住民の請求を退けたものの「旧じん肺法が制定された1960年までに、工場に石綿粉じんを抑える排気装置の設置を義務付けなかったのは違法」と国の責任を明確に認めた。さらに判決は「対策を講じる工場に負担がかかることを理由に、石綿粉じんにさらされる労働者の健康や生命の安全をないがしろにすることはできない」と国を戒め、共同不法行為責任があるとした。

 判決は、04年の筑豊じん肺訴訟の最高裁判決が示した「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるとき」という基準を踏まえ、行政の権限不行使を違法と判断した。健康被害を巡る訴訟で国の不作為責任を認める流れは定着しつつあり、水俣病やじん肺の訴訟でも患者勝訴が続いている。

 石綿被害では東京地裁や横浜地裁で国賠訴訟が係争中で、今回の判決が影響を与えるのは必至だ。

 石綿による健康被害の多くは発症までの潜伏期間が長いのが特徴で、中皮腫では平均40年といわれる。中皮腫での死者は08年に1170人と10年間で倍増し、00年からの40年間で10万人に上るとの予測もある。被害は今後数十年にわたって確実に拡大していくとされる。

 05年に機械メーカー「クボタ」の旧工場の従業員や周辺住民に中皮腫や肺がんなどの石綿被害が広がっていたことが社会問題化した。これを受けて政府は緊急法案をまとめ、翌年に患者・遺族の救済を図る石綿健康被害救済法を施行した。

 しかし、救済対象は原則、中皮腫や肺がんで医療費の支給などに限定されている。大企業による被害補償の動きも進んだが、零細企業や廃業した企業には補償能力はなく、多くの被害者が置き去りにされている。

 迅速な被害救済のため、不備が指摘される救済法の改正が急務だ。支給金の増額や救済対象の拡大を図る必要がある。危険な石綿の使用を長年放置してきた国は判決を謙虚に受けとめ、積極的な被害救済に乗り出さねばならない。

tag : 石綿肺 びまん性胸膜肥厚 クボタショック 国と企業との「共同不法行為責任」

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大学卒業後、銀行・官庁勤務を経て、社会人大学院生となる。
環境問題にかかる税金や賦課金制度について研究しています。

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