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中国はCO2対策をしているのか?

今回は、中国の二酸化炭素(以下CO2)排出量の問題について、考察してみたいと思います。結論としては、中国の環境問題は世界規模の影響があり、その解決には世界全体が関わる必要がある。まずは洞爺湖サミットに注目しよう!ということです。

1.すでに世界一位だった!
 オランダの研究機関「オランダ環境評価機関」(MNP)は、2006年の中国のCO2排出量がアメリカを抜き、初めて世界1位になったと発表しました。(2007年6月ブリュッセル共同)
 前回のエントリーで参照したCO2排出量の図(環境省作成)は2003年度のデータです。
 この時、アメリカの排出量は58億トン、中国40億トン。差はおよそ18億トンありました。
 2004年のデータ(エネルギー・経済統計要覧2007年版)で、アメリカは58億トンで変わらないのですが、中国が48億トンと増加しました。
 そして2006年、中国は62億トン(年間8.4%増加)となり、58億トンのアメリカを逆転しました。

2.どうして増えた?
 MNPは中国が世界一になったのは、経済の急成長を背景とした石炭使用量の急増やセメント生産の拡大が主な原因と分析しています。
 人口で除した1人当たりの排出量では、中国は米国の1/4、英国の1/2ということです。

3.中国の対応は?
(1)政治家のメッセージ
 2007年10月15日ロイターによると、胡錦濤・共産党総書記(国家主席)は党大会で、中国経済は「資源と環境に多大な負担をかけることで」成長を実現してきたと演説し環境コストが反映されるよう、資源の価格決定メカニズムを改善する意向を示しました。
 2008年1月06日の中国国際放送局日本語部によると全国人民代表大会(日本の衆議院にあたる)の熱地副委員長は1月5日、「環境と資源の保護は長期的な任務である。中華21世紀環境保護活動は生態文明をPRし、提唱し、また実践するものだ。この活動は中国の経済や社会と環境資源の調和の取れた発展に積極的な役割を果たす。これから生態文明の構築を推し進め、世論の監督の役割を果たしていく」と語ったそうです。
 では、実際どういう取り組みをしているのでしょうか?

(2)自動車の排ガス規制
 2007年12月28日のチャイナネットによると、2009年から中国広州市に登録している200万台近いすべての車両は、排ガスに見合った環境保護マークの提示が義務付けられ、有害物排気量の程度により走行制限が行われるそうです。
 マークには車両の有害物排気状況が記載され、これに基づいて、基準超過の車両は走行禁止、有害物排気量が一定以上の場合は走行エリアや時間を制限するなどの措置が取られ、マークのない車両は公道を走ることができないとのこと。
 具体的に200万台中何台の車が制約を受けて、その効果はどれほどあるのか?運用開始後の結果が気になります。

(3) 環境税の導入を検討?
 2007年10月15日ロイターによると、国家環境保護局の副局長が温室効果ガスの排出削減に向けて、汚染者に環境税を課す案を検討していると報道しました。
 しかし環境税の課税範囲や導入時期については明らかせず、アナリストは実際の規制適用には懐疑的とのことです。
 もし環境税が導入された場合、中国から輸出する製品を作っている企業に課された環境税がそのまま輸出価格に転嫁された場合は、結局外国の消費者が税負担をすることになるのでしょうか?日本の消費税と同じように輸出免税になればいいですが。課題は多そうですね。
 中国は他にも再生可能資源などによるクリーンな発電を奨励するため、電力価格に環境コストを反映させる方針を明らかにしているそうです。 これは、前回触れたフィードイン・タリフの中国版でしょうか。

(4)エネルギー政策
 中国政府は2006年4月に策定した第11次5カ年計画において、2010年までにGDP当たりのエネルギー消費を2005年比で20%削減することを目標としているとのこと。この目標の達成に向けて、伊藤忠商事が中国発電所向け省エネ技術の販売を手がけるなど日本企業も一役買っています。

4.日本の対応は?
 2007年12月23日人民網日本語版によると、2007年度の日本の対中円借款は463億200万円で中国中西部の自然環境整備(大気環境保護など)6プロジェクトに利用されるそうです。
 円借款とは、発展途上国に対する経済協力の一環として、日本政府が長期かつ低金利で融資をすることです。財源は、一般会計からの出資金、財政投融資制度からの借入金などです。
 ここでの疑問は、まず中国は発展途上国か?そして環境保護は海外からの借金で行うべきものか?ということです。
 ひとつ目の答えとして、政府によると「円借款については、2008年の北京オリンピック迄に、新規の供与を終了する方向で、日中両国政府間で協議が行われています」とのこと。
 つまりこれは(その功罪は別として)駆け込み融資だったわけで、少なくとも日本にとって中国は円借款が必要な発展途上国ではなくなってきたということです。
 もうひとつは京都議定書との関係から次項以降で考察します。

5.京都議定書は中国に義務を課しているのか?
 中国は「気候変動枠組み条約」や「京都議定書」の批准はしています。しかし発展途上国(と扱われている)の中国は温室効果ガスの削減目標は課されておらず、削減義務がありません。
http://www.env.go.jp/earth/cop6/3-2.html
 ちなみにアメリカやオーストラリアは批准をしていません。
 
6.まとめ
 前述のとおり国民1人当たりのCO2排出量は、中国はアメリカの1/4でした。
 これは中国全体としては、まだ経済的に発展途上であるという論拠のひとつだと思います。つまり経済成長を果たした沿海部と内陸の主要都市でCO2排出量が増加したが、それ以外の地域は発展途上であり国民1人当たりのCO2排出量としては低い値となったという推測ができるからです。
 逆に言うと、環境汚染対策が不十分のまま中国全体で発展が続くと、排出量はもっと増え続けるということです。
 当然ながら中国は他の途上国とは違うステージに来ています。先進国の自覚と責任が求められ、一層の環境汚染対策が不可欠です。
 中国大使館によると、2005年5月末までに中国で認可された外資系企業は52万社。190以上の国と地域から中国への投資があるそうです。中国の経済政策は今や諸外国との関係なくしては語れず、環境問題をないがしろにしていると自国への投資に影響があると判断するならば、今後さらなる環境汚染対策が進められるでしょう。
 しかし世界規模での排出量削減を考えたときにはあまり猶予はありません。スピードが必要です。
 中国だけにすべてやらせるのではなく、国際社会からの経済的・技術的支援もまだまだ必要だと思います。そして、そのための話し合いの場として、洞爺湖サミットに期待しています。

 最後に2008年1月26日ダボス会議における北海道洞爺湖サミットに向けた福田総理の講演から気になった箇所を抜粋します。
(1)ポスト京都フレームワーク
 バリ会議では、2009年末までに、京都議定書の後に続く新たな枠組みを目指すことで一致しました。主要排出国がすべて参加する仕組みとすることが不可欠です。日本は、主要排出国とともに、国別総量目標を掲げて取り組みます。
(2)国際環境協力
 日本ができることは、優れた環境関連技術の移転です。例えば、日本の石炭火力発電効率を米、中、インドの3ケ国に普及させれば、そのCO2削減効果は日本一国の排出量に相当する13億トンになるのです。
(3)イノベーション
 石炭火力発電所からのCO2排出をゼロにする技術や、世界中の屋根に取り付け可能な低コストで高効率の太陽光発電技術、グリーンITなどの開発を加速します。

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大学卒業後、銀行・官庁勤務を経て、社会人大学院生となる。
環境問題にかかる税金や賦課金制度について研究しています。

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