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排出権取引(小樽商大佐野准教授)

昨日,行ってきました排出量取引の講演。
参加者は結構年輩の男性が多かったです(そしてその方々の居眠り率も高かったw)。
ここでは予習のエントリーを踏まえて,新しく学んだことを整理します。


1.京都議定書
(1)京都議定書の概要
 アメリカが離脱したことにより,ロシアが批准しなければ発効されないという背景(55カ国批准+総排出量55%の国の批准)。
(2)京都メカニズムの概要
 以前のエントリー(これ)で予習済の内容でした。

2.日本の現状
(1)過去三ヵ年の温室効果ガス排出状況(1990年比)
   2005年 +7.7%
   2006年 +6.2%
   2007年 +8.7% 
(2)削減義務は
 2006年を基にしても,2008年度から5年間は毎年平均で
   6%(1990年比削減率)+6.2%=12.2%
削減が必要。
※約束が果たされなければ,次期約束期間でペナルティーを科されるだけではなく,国際的な信用も失う。

3.排出権取引
(1)排出権取引のメカニズム(国内取引モデルを使用)
 追加1トンあたりの削減費用(限界削減費用)は上昇する。
(2)結論
 追加1トンあたりの削減費用(限界削減費用)は,すでにより高い排出削減を達成している企業のほうが相対的に高くなる。また,国単位でみると,日本は他の途上国などと比べて,限界削減費用が高いので,国内で削減するより国際的な排出権を購入したほうがよい。

4.まとめ
(1)京都議定書達成計画
 国内対策の遅れなどにより近年の温室効果ガス排出状況が1990年より悪化しているため,計画達成には,京都メカニズムによる排出権購入の依存度が上昇する。
 当初想定していた2,000万トンより多い,4,200~5,600万トンを税金で購入する必要がある。
(2)日本で開始される排出量取引試行の問題点
・自主参加→市場全体の取引が過小になる
・削減目標は自主設定→スキーム全体での削減が担保されない
(3)提言 ~本物の国内排出量取引制度を創設すべき~
・強制参加(参加単位は個別企業)
・政府による排出量の初期割り当て
→財政支出により京都クレジットを購入するより,日本経済全体ではより効率的に目標達成
→総削減目標達成の目途がつく
---------------------------

 以上が,講演の内容でした。
 講演後の質疑応答で,次の内容を質問してみました。

「国内排出量取引制度の導入には産業界からの反対が大きいが,その理由として京都議定書を締結していない国(例えばアメリカ)の企業と比しての国際競争力の低下が懸念される。
 また,1990年比の排出量においては,会社事務所や家庭に問題があることが判明している。
 この点について,ポスト京都メカニズムとして日本が主張しているセクター別アプローチは経済的に見てどのように評価されるか」
という内容です。

 これに対して佐野先生はセクター別アプローチについてあまり学習していないという前提の上で,
「セクター別に分けるということは,国レベルで考えたときには効率性の観点で課題が残る。セクター間の影響も否定できないのでは」
という回答でした。

また,下記の内容については改めて検証したいと思いますが,とても参考になった90分でした。

○まだ残る疑問
「日本は他の途上国などと比べて,限界削減費用が高く,国内で削減するより国際的な排出権を購入したほうがよい」のになぜ日本は批准したのか?という批准に向かった決定プロセス。
 まさか「ホットエアー問題の当事国ロシアにお金を払って,排出権を購入する(のと引き換えにロシアの豊富な天然資源につばをつける)」とかではないよねー。


-------------
「排出量取引」501社が参加申請、年度内にも売買可能に
12月13日22時0分配信 読売新聞


 温室効果ガスの排出削減を目指す国内排出量取引の試行制度で、政府の参加企業の集中募集が12日に締め切られ、501社が参加を申請した。
 今回の制度では、参加企業ごとに排出目標を定めるのが原則とされていたが、例外的に鉄鋼連盟の73社と、日本自動車工業会と日本自動車車体工業会に属する58社は業界単位の参加を申請した。
 経済産業省などの発表によると、参加を決めたのは、電力会社9社、化学工業41社、電気電子産業16社などやメーカーなど。コンビニや商社、銀行、大学なども名乗りを上げている。主要業界の企業の多くが参加を決めており、産業部門では、参加企業の排出量が部門全体の約7割を占める規模で、政府は「景気後退の情勢の中で、まずまずの数と規模の参加が得られた」(経産省担当者)と評価している。
 今後、政府が各企業の目標について、業界全体の水準と照らして妥当かどうかなどを審査。今年度内には各企業ごとの目標が確定する予定で、早ければその時点から排出枠の売買取引が可能になる。

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日本にとっては吉報か?

排出量価格、世界で急落 半年で3分の1 景気後退の影
 【ロンドン=石井一乗】温暖化ガス排出量取引の市場価格が世界で急落している。最大マーケットの欧州や米国で、昨年夏のピークから半年強でほぼ3分の1に下落。世界的な景気後退を受けて減産を進める企業の排出量が減り「余剰分」となった排出量の売却が増えたためだ。排出量は中長期的に拡大するとみられるが、足元の市況悪化で取引を縮小する市場参加者もあり、温暖化ガス削減策の主要な柱である排出量取引市場の整備が停滞する可能性もある。
 ロンドンにある世界最大の欧州気候取引所(ECX)では、欧州の排出量取引制度(ETS)に基づく先物価格が一時1トン=10ユーロ(約1190円)の大台を割り込み、その後も同10ユーロ前後で推移している。昨年7月の高値(同約30ユーロ)の約3分の1の水準で、京都議定書の削減目標期間に入った2008年以降では最安値圏だ。 (16:00)
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大学卒業後、銀行・官庁勤務を経て、社会人大学院生となる。
環境問題にかかる税金や賦課金制度について研究しています。

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